Lost innocence

真夏に舞うゆき

「ざしきわらし」からの贈り物   ストーリー


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English version
 会社での長時間の仕事の後,同僚と飲みに行ったサクラタケル氏。今日も家に帰らずしかたなくその夜はホテルに泊まることに。

 その夜に見た夢からこの物語は始まる。

友だちや仕事の同僚たちが幽霊のような姿で夢の中に出現。ゆっくりとサクラの周囲に集まってくる。しかし,突然,人々が昔の村人たちの姿となって村祭りが始まる。サクラは人々の間を歩き回るが,人々にはサクラが見えない様子。盆踊りの後にメインイベントの相撲大会が始まる。しかし,相撲大会が終わるやいなや,周囲から子どもの足音のみが響いてくる。その音を聞いた村人達は恐れ怯え,身を寄せ合う。なぜならその足音が聞こえると海が荒れ,人が死ぬと言われているからだ。

 サクラは,あれよあれよという間に荒れた海に呑み込まれ,もがき苦しみ,死にそうになる。しかし,諦めかけた瞬間「ざしきわらし」が現れて海を静めサクラは九死に一生を得る。サクラはお礼を言おうと「ざしきわらし」を探し始め,様々な所を彷徨。その途中,自分の家の前を通ったサクラは,そこに自分の帰りを待っている妻と子供たちの姿を見る事になる。父を待つ家族はサクラを探すために彼の働く街へ出かける用意をしている。

 場面はサクラの勤める都会。都会の動きはとても速く,通勤の人々が走り回っている。サクラは,人生で初めて自分が日々を過ごしている都会の様子を外から見る事になる。あまりにも忙しく動き回る人達。サクラはそんな人達を見て,時には立ち止まり,ゆっくり楽しい時を過ごしたらいいのにと感じる。

 それを感じている時,「ざしきわらし」が再び現れ,魔法を使い,大急ぎで走り回っている人々を止めてしまう。サクラは,止まっている人々の中から,自分の家族を連れ出して自分の近くに引き寄せようとするが,家族は遠くに離れ,彼の望みは叶えられない・・・。

 すると魔法が解け,人々はまた忙しく動き始める。そこへ突然,妙なレポーターが現れ,行き交う人々にサクラについての評判を聞き始める。人々のコメントは批判的なものばかり。サクラは落胆するばかり。

夢の中の場面は変わり,サクラは会社にいる自分に気がつく。よく見慣れた光景。忙しそうに働いている同僚達。しかし,この光景も社長の訪問で一変。なんと秘書が歌い始め,お茶出しをしている女性社員と,掃除をしている人たちが踊り始める。サクラはこの人たちが歌や踊りをこんなに愛していることを全く知らなかったし,知ろうともしていなかった。なぜなら,彼は,歌ったり踊ったりするのは子供のすることだと思っていたのだ。彼の考えは間違っていたのか?

そこへ,「ざしきわらし」が現れ,会社の人々に子どもの無邪気な心を吹き込んでいく。すると人々は子どもに変わり,仲間同士で遊びを始め,そこで,サクラも一緒になって無邪気な遊びに加わろうとするが,彼が仲間に入れてもらおうと入っていくと,子ども達は去ってしまい,彼はただ一人残されてしまう。さまよい歩き,帰る道を失う。呆然として取り残される。

そこへ同じような忙しさに囚われて抜け出さないでいる魂たちが,サクラの周りに不気味に集まってくる。サクラはその魂達に取り囲まれ,閉じこめられ,地獄を見せられる。抜け出そうと必死にもがくが出られない。結局サクラは抜け出すことができない。もう家族のところには帰れないと直感し,自らを砂で埋葬し絶望のまま,死の中へ身を投じようとする。

そこへ「ざしきわらし」が三度現れ,サクラの後悔の気持ちを察し,彼を暖かく包み込み,家族のもとへ連れて行く。サクラは「ざしきわらし」に連れられ家族のもとへ。

近所の人が,帰ってきたサクラが妻や子どもたちと一緒にいるのを見て,近所へ知らせに回る。人々は大いに驚くが,サクラが帰ってきたことを喜び,大歓迎。人々はサクラのためにコンサートを開催。そのコンサートで家族と共に嬉しそうに過ごす。コンサートの最後にはスターに促されてステージに上がる。周囲から大きな拍手をもらい嬉しそうな表情。しかし,喜んでいるのもつかの間,人々はサクラ氏のもとから去っていく。

 そこへ再び「ざしきわらし」が現れ,彼をホテルの部屋に連れ戻して静かに寝かせ,最後の別れをする。

さて,サクラは目を覚ましたとき,「ざしきわらし」がいつもいること,「ざしきわらし」が垣間見せてくれた無垢な心を信じることができるのだろうか。

あるいは,まだ信じることができずに人生に迷い続けるのか。

 Lost innocence 失ってしまった無垢な心。さてサクラは・・・。
翻訳 ダニエル アイコースト
    
Daniel Eichhorst



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